「2015年1月」のアーカイブ

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《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》の前にて
馬場館長:
本日はお忙しい中、ご来館いただきありがとうございました。
当館は、名古屋財界の皆様のご支援とご協力により昨年4月に開館15周年を迎えることができました。
これまでご支援いただいた皆様に心よりお礼申し上げます。
そこで開館15周年にあたり会頭より一言いただけますでしょうか。

岡谷会頭:
名古屋ボストン美術館の開館15周年を迎えられ心よりお祝い申し上げます。

貴館は、名古屋商工会議所に設立準備委員会を設置したことをはじまりとしております。ボストン美術館との姉妹館提携というユニークな施設の設立は、これまで東海地方の皆様を中心とする全国各地の来館者にボストン美術館が所蔵する様々な分野に及ぶ一流の芸術作品の鑑賞を可能としました。
また、学校法人賛助会制度や中学生以下の無料化を通じて、多くの学生、児童が美術に触れる機会を提供しておられます。
このように幅広い年齢層の皆さんに芸術作品をご覧いただいておりますことは、当地域の文化振興はもとより、芸術・文化教育に大きく貢献しておられると思います。

 

 

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馬場館長:
ありがとうございます。
これからも微力ながら当地域に貢献できますよう心掛けてまいります。
先ほどは当展覧会の顔となるクロード・モネの《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》をご覧いただきましたが、作品の印象をお聞かせいただけますか。


岡谷会頭:
以前、ボストン美術館でも見た記憶がありますが、改めて拝見すると非常に大きな作品だと思いました。日本の扇子や団扇がふんだんに使われており日本文化の影響が感じられます。カミーユ・モネが赤い着物を身にまとい扇子を広げて微笑んでいる姿は、大変魅力的でジャポニスムの代表作として展覧会の顔にふさわしい作品であると思います。

馬場館長:
私も大変好きな作品の一つです。
本作は、1876年の第2回印象派展に出展された初期ジャポニスムの代表作と言えます。

今回の展覧会では、本作の他、モネの《睡蓮》、ゴッホの《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》や歌川広重、葛飾北斎などボストン美術館が誇る浮世絵の名品等、148点が展示されております。
西洋の芸術家たちが日本の浮世絵や工芸と出会い、何を学び取り入れ、新たな美を創造したのか検証することを展覧会のテーマに掲げております。多くの方にご来館いただければと思っております。

 

 

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名古屋商工会議所 岡谷会頭

岡谷会頭:
ところで東京美術学校(現:東京藝術大学)の校長であった岡倉天心は、ボストン美術館と関係が深いとお聞きしました。アメリカに日本の美術品が多く所蔵されていることは、天心と関係がありますか。

馬場館長:
当時、東京大学教授であったアーネスト・フェノロサが、廃仏毀釈で見捨てられた日本の美術品に光を当て、日本の優れた美術作品を ボストン美術館のコレクションに加える橋渡しをしました。これらの美術品は、ボストンに渡って戦禍を免れ、現在もボストン美術館のコレクションとして多 くの方々にご覧いただいております。このフェノロサの教え子であったのが岡
倉天です。彼は後にボストン美術館の東洋美術部の部長になり、ボストン美術館のコレクションの充実を図りました。
では、最後に本展と名古屋ボストン美術館への期待をお聞かせいただけますか。

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馬場館長
岡谷会頭:
本展は、ボストン美術館が所蔵する西洋と日本の名作が一堂に見られる貴重な機会でございます。東京・京都と巡回して名古屋で見納めとお聞きしておりますので、地元の皆様はもとより全国各地の皆様にご覧いただければと思います。

名古屋ボストン美術館につきましては、今後も芸術・文化の発信基地の一つとして当地域並びに全国に向けて情報発信をしていただくとともにボストン美術館との展覧会を通じた交流により日米文化交流の懸け橋となることを期待しております。
これからも貴館がますますご発展されるよう心より祈念しております。

馬場館長:
本日は、どうもありがとうございました。
今後もより多くの皆様に楽しんでいただけるよう心掛けてまいります。




さて、いよいよ開館15周年の記念の年を締めくくる「華麗なるジャポニスム展」が始まりました。

本展の代表作、クロード・モネの《ラ・ジャポネーズ》は、当館からボストン美術館にずっとラブコールを送っていた作品だけに、この度ご紹介することができとても嬉しいです。

本作で目を引くのはなんといっても真っ赤な打掛。紅葉とともに眼光鋭く筋骨隆々とした武者が今にも刀を抜こうとする姿があしらわれています。なかなか奇抜な柄ですね。実は、この図柄は能の演目のひとつ「紅葉狩」をデザイン化したものではないかという説があります。鹿狩りにやってきた武将・平維茂(たいらのこれもち)の一行は紅葉見物をする妖艶な美女たちと遭遇し、誘われるままに酒宴を楽しみます。夜もとっぷり暮れて維茂はうかつにも寝てしまいますが、夢に八幡宮の神が現われて女たちは鬼の化身だと知ります。覚醒した維茂は、授けられた神剣で見事鬼女を退治する、というストーリーです。この打掛の武者が維茂だとしたら、まさに鬼女に斬りかかるクライマックスの場面なのでは!?と想像するのも楽しい作品です。おそらくモネはこの物語を知らなかったと思いますが、さて、みなさんならこの作品をどう読み解きますか?

 

クロード・モネ《ラ・ジャポネーズ》.jpg

クロード・モネ《ラ・ジャポネーズ(着物をまとうカミーユ・モネ)》1876年 
1951 Purchase Fund 56.147
Photograph ©2015 Museum of Fine Arts, Boston.

 

3階ロビーでは、この仮説にもとづき再現した打掛を展示しています。

作品の画面では見えていない全貌が繊細な刺繍で表現されています!

ぜひ、間近でご覧ください♪

 

《ラ・ジャポネーズ》打掛(細部).jpg

 打掛の全貌を美術館でお確かめください!