錦絵に発見!明治ニッポン工芸の美!

2015年7月24日

 開催中の「ダブル・インパクト 明治ニッポンの美」展には多数の浮世絵版画が展示されています。浮世絵版画のなかでも、特に多色摺りの作品を錦絵と呼びますが、ボストン美術館の錦絵は保存状態がよく色もたいへん鮮やかです。

 

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(図1)三代歌川広重 《上野公園内国勧業第二博覧会美術館并猩々噴水器之図》 1881(明治14)年
Jean S. and Frederic A. Sharf Collection 2000.508a-c
 

 その錦絵の1枚に三代歌川広重《上野公園内国勧業第二博覧会美術館并猩々噴水器之図》(図1)があります。内国勧業博覧会は1877年に始まり、第2回が1881年に東京の上野公園で開催されました。展示の錦絵はその様子を伝えています。作品の中央には、タイトルにもある“猩々(しょうじょう)噴水器”が見えます(図2)。この「噴水器 陶人物錦手」は、宮川香山(1842-1916)が制作しました。当時の写真も残されています(図3)。高さ3mにおよぶ巨大な陶製の壺の周りには、猩々の赤い能装束の4人が酒に浮かれ舞い謡っています。これは、中国の潯陽の江に住む赤毛の霊獣猩々が、親孝行者の高風に酒が尽きることなく湧く壺を与えた、という能の演目がもとになっています。この噴水器は小林清親、楊洲周延などの錦絵にも描かれており、博覧会の大きな話題になったことがうかがえます。そのリアルで躍動感ある動きの表現には、私たちも驚嘆!

 

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(図2)猩々噴水器

東京国立博物館所蔵 Image:TNM-Image-Archives.jpg

(図3)《第2回内国勧業博覧会写真帖》

東京国立博物館所蔵 Image:TNM Image Archives

 宮川香山は、1876(明治9)年に開催されたフィラデルフィア万博に、蓮や蟹などを精巧に細工した花瓶を出品し、高い評価を得ました。そして海外からの需要に応えて、大胆に装飾を施した陶器を制作しました。宮川香山の作品が、今名古屋で見ることができます。ヤマザキマザック美術館にて「世界に挑んだ明治の美 宮川香山とアールヌーヴォー」が開催されています。香山の技が生んだ“これぞ明治ニッポンの美!”と叫びたくなる作品の数々。8月30日まで開催されています。