「2015年9月」のアーカイブ

ボストン美術館(ヨーロッパ美術部)の「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」担当キュレーター フレデリック・イルチマンさんが来日!ヴェネツィアの18世紀のコスチュームをまとってインタビューに応じてくれたイルチマンさんに、ヴェネツィアと展覧会への想いを伺いました!

 

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フレデリック・イルチマンさん

(ボストン美術館 ヨーロッパ美術部 部長 キュレーター)

ヴェネツィアにはとても思い入れがあると伺いました
イルチマンさんがヴェネツィアと出会ったきっかけを教えてください

子どもの頃、水の路(みち)や運河があって人々が船で移動する町があると聞き、「なんて素敵で、おとぎ話のような町なんだろう!」と好奇心を掻き立てられたのがきっかけです。1985年に初めて実際に訪れ、ゴンドラが行き交う様を目の前で見た瞬間に「こんな夢のような場所が本当にあるんだ」と一目で恋に落ちました。小さな町ですが、ゴンドラで、徒歩で、少し移動するだけでまったく別の表情を見せるところに魅了されます。夜がとても静かなところも好きです。

ヴェネツィアのお気に入りの場所・おすすめの場所はどこですか
学生の時にヴェネツィアに5年間住んでいました。実は、大学院ではイタリア美術を専攻し、特にティントレットについて研究していました。住んでいた家はティントレットの家から徒歩10分、ティツィアーノの家から5分という場所です。
おすすめしたい場所は2つ、それぞれとても近い建物です。ひとつめは、サンタ・マリア・グロリオーザ・フラーリ聖堂。ティツィアーノによる大作をはじめ、素晴らしい作品が所狭しと展示されています。その教会のすぐそばにあるのが、スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ(サン・ロッコ大信徒会)。ティントレットが1564~1588年の24年をかけて壁と天井に描いた絵画を堪能することができます。それらは、ティントレットが所属していたキリスト教の集まりのためのものでした。彼のあつい信仰心を表すモニュメントともいえるでしょう。絵画に包まれることができるこれら2つの建物がお気に入りの場所です。

イルチマンさんも所属する“Save Venice(ヴェネツィアを救おう)”の活動について教えてください
1966年11月に大洪水がヴェネツィアとフィレンツェを襲いました。フィレンツェでは多くの人々が亡くなりましたが、もともと水と共に生活していたヴェネツィアの人々は乗り切ることができました。しかし水に浸かった建物への被害は甚大です。アメリカには“イタリア美術を救う会”というグループが前からありましたが、その後その中から派生したのが“Save Venice(ヴェネツィアを救おう)”です。ヴェネツィア(ムラーノ島などの島を含む)の絵画、モザイク画、フレスコ画、建築物、彫刻、書籍などを保存・修復するお手伝いをしています。図書館などの施設を支援することもあります。大きな団体ではありませんが、その分、小回りがききます。建物内の絵画から雨漏りが見つかればすぐに手当てをする、といった具合です。実は、“Save Venice”はボストンで発足しました。ボストニアンのヴェネツィア芸術に対する情熱のもうひとつの形といえるでしょう。
 

 

 

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ロレンツォ・ロット《聖母子と聖ヒエロニムス、トレンティーノの聖ニコラウス》1523-24年
Charles Potter Kling Fund 60.154

展覧会の中のお気に入りの作品を教えてください
どれも好きなので難しい質問ですが…強いて挙げるのであれば、ロレンツォ・ロット《聖母子と聖ヒエロニムス、トレンティーノの聖ニコラウス》 (1523-24年)です。近年の修復を経て、大変良いコンディションでご覧いただけますし、とても美しく、また重要な作品です。キリスト教の重要な聖女として並べて展示しているバルトロメオ・ヴィヴァリーニ《マグダラの聖マリア》(1480-90年頃)とティツィアーノ・ヴェチェッリオ《アレクサンド リアの聖カタリナの祈り》(1567年頃)と一緒にご覧いただくことで、時代による表現と技術の変化も見ることができます。

 

 

時代は下って、クロー ド・モネ《ヴェネツィアの大運河》(1908年)も大好きな作品です。同じくサンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂を題材にしたアベラルド・モレルの写真作品《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》(2006年)も、どうぞお見逃しなく。室内にヴェネツィアの景色を逆さに映し出すというアイデアが好きです。本作を見て思うのは、ヴェネツィアで生まれた芸術を考える時に“reflection(反射)”というキーワードが挙げられるということです。これは水の反射という物理的なことだけでなく、海外からきた芸術家たちにインスピレーションを与えるといった広い意味でも言えるでしょう。

 

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クロード・モネ《ヴェネツィアの大運河》1908年
Bequest of Alexander Cochrane 19.171

Photographs ©2015 Museum of Fine Arts, Boston.

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アベラルド・モレル《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》2006年
The Lane Collection L-R 309.2012
©Abelardo Morell, Courtesy Edwynn Houk Gallery

展覧会でぜひ注目してほしいポイントはどこですか

展覧会をご覧になる皆様へのメッセージをお願いします
これだけの規模の展覧会ができる町を、ヴェネツィアの他に知りません。
そこで、私たちはこの魅惑の都市をひとつの美術ジャンルやある時代だけで切り取ることはせずに、ヴェネツィア芸術のすべての側面を見ていただくために130 作品を選びました。ぜひ、ヴェネツィア芸術の多様性にご注目ください。多くの発見があることに、きっと驚かれるはずです。展示は、「比類なき都市」「描かれた祈り」「ヴェネツィア様式」「芸術家たちを魅了する町」というテーマ別の構成になっています。外観から町の中に入り込むように展示していますので、 ヴェネツィアの町を散歩するように展示室の中を行ったり来たりしながら、太陽の光や水面を感じ、時にはゴンドラの姿を見つけ、ゆったりとリラックスした気分で楽しんでいただけると嬉しいです。

 

イルチマンさん、ありがとうございました!

世界中の人々に愛される水の都ヴェネツィアの美をご紹介する「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」が、2015年9月19日(土)に開幕します。

俳人でもある馬場館長は、十数回にわたるヴェネツィア渡航体験の中で街の魅力に魅せられ、多くの句を詠んできました。

カーニヴァルのきらびやかな衣装、音楽や演劇への貢献から、訪れる者に劇場的な印象を与えるヴェネツィア展覧会に寄せた馬場館長からのメッセージを、館長の俳句と共にご紹介します。

 

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名古屋ボストン美術館 館長

馬場駿吉

廣場(カンポ) まるごとが劇場(テアトロ) 春日傘

 

Tutto il Campo è un teatro
e un parasole
di primavera

(『海馬の夢-ヴェネツィア百句 句集』(深夜叢書社 1999年)p.168~169より引用)

 

ヴェネツィアは、古来、東西文明の交流拠点として、繁栄の歴史に彩られた都市国家であり、ルネサンス期には著名な美術家を輩出。また、バロック音楽や新しい即興仮面喜劇の立役者たちを育み、多くの芸術家たちを引き寄せまし た。18世紀末のナポレオン軍の制圧により政治的な求心力は失われましたが、その文化的遺産は、現代の私たちをも魅惑してやみません。それはヨーロッパの 多くの城郭都市の持つやや閉鎖的な気配と異なり、潮のうねりときらめきが織りなすアドリア海の開放的な息吹がもたらしたものではないでしょうか。ボストン美術館の豊富で 貴重なヴェネツィア関係の所蔵品の数々は、永い年月を生き抜いてきたこの街の息遣いをいきいきとお伝えするはずです。

 

 

2015年9月19日(土)に開幕する「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」に合わせて、ヴァネツィアが発祥の「カーニヴァル」の雰囲気を体験していただこうと、ファッション専門学校の皆さんがオリジナルのカーニヴァル衣装を制作するプロジェクトが進行中です!

 

全5着の衣装制作にご協力いただいているのは、中部ファッション専門学校、名古屋ファッション専門学校、名古屋ファッション・ビューティー専門学校の皆さんです。

事前にお寄せいただいたデザイン画から、想像が膨らみます。どんな素敵な衣装ができあがるのでしょう。。。 

 

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中部ファッション専門学校

ジャケットには馬の様子が。メンズの衣装です。

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中部ファッション専門学校

ミニワンピースとマントがおしゃれです。髪飾りはうさぎの耳?

 

 

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名古屋ファッション専門学校

女性らしいセクシーな雰囲気を出すようなデザインです

 

 

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名古屋ファッション・ビューティー専門学校

ブラックとグリーンでクールなイメージのドレス

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名古屋ファッション・ビューティー専門学校

カーニヴァルにぴったり。マントとパンツそして帽子も華やかです

 

皆さん、授業や試験で忙しい中、作業を進めてくださっています。

だんだん形が出来上がり、私たちスタッフ一同もワクワクしながら完成を待っています。

 

 

中部ファッション専門学校  

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ミニワンピースのマントを制作中。

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メンズ用には帽子も!

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メンズ用ジャケットは完成に向けて

袖や襟元に装飾が施されます。

 
 

名古屋ファッション専門学校 

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急ピッチで作業を進める若園さん。

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お友達もお手伝い。これはスカートの部分です。

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仮面にもこれから装飾が。セクシーなホクロもつく予定です。
 

 

名古屋ファッション・ビューティー専門学校  

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仮面は衣装にあわせて制作。

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マントにつける装飾もできあがってきました。

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ドレスの前のフリル部分。繊細な作業。
 

 

完成したカーニヴァル衣装は、3階ロビーにおいて「なりきり・カーニヴァル」と題し、帽子や仮面とともに身につけて写真を撮影するコーナーとして、ご来館のお客様にお楽しみいただきます。5着のうち1着はメンズです!男性の方もどうぞ試着してみてください。展覧会と合わせて、こちらもどうぞお楽しみに!


★本イベントは「ユネスコ・デザイン都市なごや」の連携事業です★