「ヴェネツィア展」開幕に寄せた館長からのメッセージ

2015年9月17日

世界中の人々に愛される水の都ヴェネツィアの美をご紹介する「ボストン美術館 ヴェネツィア展 魅惑の都市の500年」が、2015年9月19日(土)に開幕します。

俳人でもある馬場館長は、十数回にわたるヴェネツィア渡航体験の中で街の魅力に魅せられ、多くの句を詠んできました。

カーニヴァルのきらびやかな衣装、音楽や演劇への貢献から、訪れる者に劇場的な印象を与えるヴェネツィア展覧会に寄せた馬場館長からのメッセージを、館長の俳句と共にご紹介します。

 

馬場館長(ヴェネツィア展).jpg

名古屋ボストン美術館 館長

馬場駿吉

廣場(カンポ) まるごとが劇場(テアトロ) 春日傘

 

Tutto il Campo è un teatro
e un parasole
di primavera

(『海馬の夢-ヴェネツィア百句 句集』(深夜叢書社 1999年)p.168~169より引用)

 

ヴェネツィアは、古来、東西文明の交流拠点として、繁栄の歴史に彩られた都市国家であり、ルネサンス期には著名な美術家を輩出。また、バロック音楽や新しい即興仮面喜劇の立役者たちを育み、多くの芸術家たちを引き寄せまし た。18世紀末のナポレオン軍の制圧により政治的な求心力は失われましたが、その文化的遺産は、現代の私たちをも魅惑してやみません。それはヨーロッパの 多くの城郭都市の持つやや閉鎖的な気配と異なり、潮のうねりときらめきが織りなすアドリア海の開放的な息吹がもたらしたものではないでしょうか。ボストン美術館の豊富で 貴重なヴェネツィア関係の所蔵品の数々は、永い年月を生き抜いてきたこの街の息遣いをいきいきとお伝えするはずです。