「ルノワールの時代」展に寄せた馬場館長からのメッセージ

2016年3月17日

3月19日(土)に開幕する「ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影」展において、11年ぶりに名古屋にやってくるボストン美術館・最愛のルノワール《ブージヴァルのダンス》。展覧会は、皆様を“ルノワールが生きた時代”にお連れします。ルノワールが生きた19世紀後半から20世紀初頭のヨーロッパは、産業革命により大きな変化を迎えていました。展覧会では、「都市と田園」をテーマに芸術家たちがとらえた近代ヨーロッパの光と影をご紹介します。現代につながる生活スタイルが生まれた近代において、芸術家は社会をどのようにとらえたのでしょうか。ルノワール、モネ、ミレー、ドガ、ゴッホらによる絵画、版画、写真の89作品でご覧いただきます。展覧会に寄せた馬場館長からのメッセージをご紹介します。

 

 

馬場館長(名古屋ボストン美術館).jpg

名古屋ボストン美術館 館長

馬場駿吉

19世紀後半のヨーロッパは、フランス革命の余燼(よじん)も収まり、新しい産業の興隆と社会の近代化が急速に進む時代を迎えました。劇場やショーを伴う酒場など様々な歓楽と社交の場も増えて、一般の市民もそれに参加出来るようになったのです。しかし一旦都市から離れますと、田舎に住む人の生活はまだまだ貧しさの中にありました。でもそこには都市生活者の疲れをやわらげる光やそよ風が溢れているのをあらためて認識することになり、美術家たちの関心も都市の様相の一方で、田園の風景や農事にいそしむ人の姿、あるいはそこを訪れ、心を解放する都市生活者の姿へと向かうようになりました。今回の展覧会はそのような時代を最もよく象徴するルノワールの《ブージヴァルのダンス》を中心とするボストン美術館所蔵名品によって、彼と同時代の作家たちが、その後現代まで受け継がれる“都市と田舎”というテーマにどのような視線を注いだかを見ていただけるように企画いたしました。どうぞお楽しみください。