「俺たちの国芳 わたしの国貞」展に寄せた馬場館長からのメッセージ

2016年9月 8日

9月10日(土)に開幕する次回展「ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞」では、抜群の保存状態による色鮮やかさを誇るボストン美術館の浮世絵コレクションから、ライバル同士としてしのぎを削った兄弟弟子・歌川国芳と歌川国貞の作品170件をご紹介します。江戸の「俺たち」を熱くした、国芳が描く英雄や任侠の世界。江戸の「わたし」が憧れ夢見た、国貞が描く歌舞伎役者に美人たち。現代の少年マンガやファッション雑誌につながるような、私たちにも共感できる世界観を探りながら、かつてない身近な視点で浮世絵をご覧いただきます。本展に寄せた、馬場館長からのメッセージをご紹介します。

 

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名古屋ボストン美術館 館長 馬場駿吉

江戸ファッションになりきりコーナーで、“江戸伊達男”に変身!

幕末といえば、平穏さが永く続いた武家社会に変革の足音が響き、海外からも開国を迫る汽笛が聞こえ始めた時代を思い浮かべます。でも一方では美しいもの、力強いものへの庶民のあこがれが一層高まった時代ではなかったでしょうか。国芳、国貞の浮世絵はそのような世情の側面をよく表わしているように感じられます。どんな時代にあっても、美への関心を失うことのない日本人の心根をあらためて誇らしく思うとともに、国際情勢の変遷をも乗り越えてこれらのすばらしい作品を大切に保存しそれを広く世界に紹介し続ける米国ボストン美術館の懐の深さにも大きな敬意を捧げたいと存じます。