「パリジェンヌ展」 担当キュレーター ケイティ・ハンソンさんにインタビュー!

2017年6月21日

ボストン美術館 ヨーロッパ美術部の「ボストン美術館 パリジェンヌ展 時代を映す女性たち」担当キュレーターのケイティ・ハンソンさんが来日!

展覧会の見どころやパリジェンヌの魅力について伺いました。

 

展覧会の見どころについて教えてください

ご覧になる皆さんそれぞれにとって、必ず何か発見がある展覧会だと思います。例えばファッションや時代背景など、会場を巡る時に自分なりのテーマを持って見ると、そのテーマごとに新しい発見があって面白いと思います。

 

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作品の調査をする修復士とケイティさん(ボストン美術館2017年2月8日)

Photograph © Museum of Fine Arts, Boston

エドゥアール・マネの大作《街の歌い手》が修復後初公開になります。マネに関する執筆も多数あり思い入れのある作品だと思いますが、本作の魅力を教えてください

私の大のお気に入りの作品です。この作品は大都市に住むという感覚を伝えてくれます。現代に生きる私たちと違って、マネをはじめ19世紀の人々にとって大都市に住むことは新しいことでした。大都市ではこういうことが起こります。ふと素敵な人や面白そうな人とすれ違って、その人に目が釘付けになる。けれどもおそらくその人にはもう二度と会えない。そして、その人が持つ物語について知ることはない。この作品はまさにそんな瞬間を捉えています。本作が一度見たら忘れられないのは、この瞬間を捉えているからだと思います。マネがこの瞬間に街の歌い手に対して何を感じていたのか…時を超えて感じさせてくれます。

 

展覧会初日の講演会ではパリジェンヌについて「enigma(難解な)」とも表現されていました。世界中の多くの人々を惹きつける一方で、“パリジェンヌ”の定義はとても難しいと感じます。ケイティさん個人的には、パリジェンヌのどのようなところに惹かれますか?

2006~2011年の間、パリの夏期講習で教えていたので、現代のパリジェンヌについて観察したり考えたりする機会が多くありました。そこで私が興味深いと感じたのは、彼女たちの上品で、落ち着いて、自信に満ちているそれぞれの姿が、常に自然体であることです。素敵だけど、リラックスしていて努力の跡は見えない。なので、パリジェンヌのようになるのは簡単そうに見えるけれど、実際にどうやるのかは分からないわけです。

ここで、フランス語の表現“je ne sais quoi ((特に好感の持てる)言葉では言い表せないもの)”が浮かびます。フランスにおいて、惹かれるけれどそれが何かは言葉にできないという繊細な感覚を表現する言葉があることを考えると、本展覧会で「パリジェンヌの魅力はこれだ!」と定義してしまわなかったことは間違っていなかったと思えます。

 

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ケイティ・ハンソンさん(ボストン美術館 ヨーロッパ美術部 キュレーター)

探険家スタイルのナボンと一緒にパチリ!

展覧会を担当されて、新しく発見したことはありますか

展覧会の準備をしていた2年半で、とても多くのことを学びました。《街の歌い手》の修復により分かったことももちろん、例えば18世紀のファッションが当時どのように人々に知れ渡っていたかなんて初めて知りました。刊行物に掲載されている情報もゴシップなど含め、現代のファッション誌と変わらないことに驚きました。時間や地理、文化を超えて様々な感覚を共有できることが作品を鑑賞する魅力ですね。

 

最後に、展覧会をご覧になる皆様にメッセージをお願いします

ぜひ、心をオープンにして来てください。会場では、あなたを驚かせるかもしれない、あなたが予期せず恋に落ちるような発見があるはずです。時間に追われていては見逃してしまうようなわずかなところに、長く忘れられない発見があるかもしれません。どうぞゆっくりと展覧会でパリジェンヌの姿を追っていただけると嬉しいです。

 

ケイティさん、ありがとうございました!