「ナボン」のアーカイブ

名古屋とボストンの子どもたちがアートを通じて交流する「日米アート交流プログラム」が今年11年目を迎え、これまで様々なプログラムを一緒に企画してきたボストン美術館 教育普及部のケイトリン・クランシーさんが来日!

お客様が美術館をもっと楽しむための普段の活動や、「日米アート交流プログラム」について伺いました!

 

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ケイトリンさんとパチリ!

★ボストン美術館 教育普及部での活動を教えてください

教育普及部の中で、子ども・学生・大人向けに開講している「スタジオ・アート・クラス・プログラム」を担当しています。これはボストン美術館でも歴史の長いプログラムの一つです。絵画、版画、彫刻、写真、アニメーション…様々なクラスを毎日開講しています。

例えば、子ども・学生向けには春・秋・冬の毎週土曜日に10週連続のプログラムを実施します。そのため、土曜日の美術館はとてもにぎやかです!10歳以下の子には作品作りへの導入として様々な材料に触れてもらいます。11歳以上の子どもには絵画や版画など、どれか一つ挑戦したい制作方法を選んでもらい、10週間で作り上げます。

どのプログラムでも共通しているのは、展示室に行くことです。展示室には様々な作品が“生の教材”としてありますので、プログラムと関連させながら、作者やその背景にある文化について話し合う時間を設けます。

 

★今回の日米アート交流プログラム「アニメを作ろう!Video à la Millet(ヴィデオ・ア・ラ・ミレー)」について教えてください

毎年共通のテーマに基づいて企画される日米アート交流プログラムに関して、名古屋とボストンのスタッフが1年に2回ほど打合せをする機会があります。そこで名古屋で開催する展覧会からプログラムの内容のアイデアを膨らませますが、「Video à la Millet(ヴィデオ・ア・ラ・ミレー)」の「種から生えてくるものを想像する」というテーマは、《種をまく人》から着想を得た名古屋側からの提案でした。次に、どんな制作方法が良いかを決めます。今回は、展示する場所にとらわれずにより多くの人に作品を見てもらえるよう、アニメーションに挑戦しました。

 

★これまでの取り組みの中で特に印象に残っているプログラムはありますか

はじめて講師として名古屋に訪れることができたので、「Video à la Millet(ヴィデオ・ア・ラ・ミレー)」が思い出深いプログラムなることは間違いないでしょう。もうひとつ上げるとしたら、「ジム・ダイン―主題と変奏:版画制作の半世紀」展の時です。ボストン美術館とも関わりが深いジム・ダインの紙作品(本物!)を見た後、版画家を講師に迎え本格的なプレス機で版画作品作りを体験することができました。昨年の「アートに生きた女たち」展の時の「わたしのヒロイン」も、作品に添えられたそれぞれのエピソードを読むのがとても楽しかったです。

 

★夏休みは子どもがさまざまな美術館を訪れる絶好の機会です。「美術館をどうやって楽しめばいいのかな?」と思っている子にアドバイスをお願いします

ワークショップに参加するのが一番の近道だと思います。その他、美術館が用意しているヒントブックなどの子ども向けの案内をぜひ活用してください。まずは、美術館を楽しむのに決まったルールがあると思わずに、好きだと思う作品の前で好きなだけ時間を過ごすようにしてみてください。

 

★日本の印象はいかがですか

日本に来るのは初めてなのでとても楽しみにしていました。名古屋がこんなに大きな街とは予想していませんでした!ボストンと比べて暑いですが、これからいろいろ発見するのが楽しみです。

 

★見習い学芸員のナボンにアドバイスをお願いします!

「旅するナボン」(※)でアメリカを東から西へ旅していましたね。常にいろんなことに目を向けて、旅をして、新しいことを学び続けてください。

 

※「旅するナボン~Traveling Nabon~」は「ドラマチック大陸-風景画でたどるアメリカ」(2013年開催)時にFacebookページ上で連載したナボンのアメリカ旅行記です。アメリカを東海岸から西海岸へ、ナボンが各地域を紹介しながら旅した様子を写真で公開しています。

名古屋ボストン美術館Facebookページはこちら

 

にこにこ笑顔が素敵なケイトリンさん、ありがとうございました! 

「開館15周年記念 ボストン美術館 ミレー展」の開幕に合わせて、ボストン美術館のマルコム・ロジャース館長が来日!

ナボンが憧れのマルコム館長に、ご自身のこと、日本のこと、ボストンのことを伺いました。ボストン美術館を20年に渡り牽引してきたリーダーの風格と紳士的な物腰に、ますますファンになったよ。

最後のビデオメッセージもご覧ください。

 

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マルコム館長とツーショット
マルコム館長のご専門を教えてください
私はイギリス出身で、ロンドンのナショナル・ポートレイト・ギャラリーでキャリアをスタートしました。そこでは主に、17世紀のイギリス美術と海外からイギリスに渡り活動した芸術家を研究していました。お気に入りの画家は、フランドル地方からイギリスに渡ったアンソニー・ヴァン・ダイクやチャールズ1世のお抱えの画家であったピーター・イーリーです。
写真の展覧会も手掛けたことがありますので、写真も得意分野です。

美術館勤務で大切にされていることは?
まずは美術を愛する気持ち。そして、私は館長ですので、スタッフの質を重視しています。スタッフの質を高く保つために具体的にしていることは、彼らが関心を持てる・面白いと思う、やりがいを感じる仕事を与えることです。また、管理をしすぎないように気を付けています。館長としての務めは、スタッフにワクワクするようなキャリアを提供することだと思っています。

美術館に出勤して朝一番にすることは、何ですか?
驚かれるかもしれませんがいたって普通で、コーヒーを淹れ、パソコンの前に座ります。
時間があるときはなるべくお客様やスタッフの様子を見にギャラリーを回ります。

ボストン美術館のコレクションの中で好きな作品を3つ教えてください
45万点ものコレクションですので、肖像画に絞ってお答えします。ナショナル・ポートレイト・ギャラリーにいた頃から、肖像画にとても関心があります。まずは、エル・グレゴ《修道士オルテンシオ・フェリス・パラビシーノの肖像》。そして、ジョン・シンガー・サージェント《エドワード・ダーリー・ボイトの娘たち》。とても美しい一方ミステリアスな雰囲気があります。そして日本でも人気があると聞いている、ゴッホ《郵便配達人ジョセフ・ルーラン》。
もう1点加えますと、子どもの頃からエジプト美術が大好きですので《メンカウラー(ミケリノス)王と王妃像》もお気に入りのひとつです。

今注目しているアートは何ですか?
百科事典的なコレクションを自負する美術館の一つとして、他の美術館も同様かと思いますが世界中の現代美術を積極的にコレクションに加えるようにしています。もちろん、日本の現代美術にも大いに注目しています。

日本で楽しみにしていることは?
当館の作品が、日本でどのように展示されているかをまず見たいので、真っ先に展示室に向かいます。毎回素晴らしく、とても楽しみにしています。今回の「ミレー展」の展示にも感激しました。名古屋に来るときはミーティングの連続でなかなか観光ができませんが、合間に手羽先を食べるのが楽しみです。ひとつ私の秘密をお話ししますと、一日の終わりにグランコート30階のスターゲイトのバーで名古屋の夜景を眺めながらリラックスする時間がとても好きです。

何度も来日された中で、日本の変化は感じますか?
名古屋ボストン美術館に関して言うと、より活き活きと、開放的な美術館になっているという印象を受けます。イベントやプログラムに加え、マーケティングもより強化されています。
日本国内に目を向けますと、毎回感じるのは「日本の美しさは発見するものだ」ということです。美しい庭も、趣きのあるレストランも、外からはすぐに分かりません。出会うためには、自ら探し、扉を開く必要があります。
菊が見事な季節に来日したことはありますが、実は桜はまだです。いつか引退した後に、ゆっくりと訪れたいです。

ボストンの街の魅力を教えてください
世界都市のひとつでありながら、圧倒されるような雰囲気が無く人間的な規模であるということがひとつ。公園、河、美術館、交響楽団、バレエ、オペラ…文化的要素が詰まっていて、歩いて巡ることもできます。私はイギリス人として、ヨーロッパ的要素が残るボストンに居心地の良さを感じます。アメリカの誕生に深くかかわるその歴史も魅力でしょう。

ナボンの第一印象を教えてください
とっても愛らしいですね。ボストンテリアだとすぐに分かりました。

見習い学芸員のナボンアドバイスをお願いします!
館長の言うことをよく聞くんだよ。

 

 

北斎展 開幕!

2014年1月17日

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当館のキャラクター ナボンくんが今を生きるビジネス・ウーマンに会ってインタビューする企画。「アートに来た女たち」(2013年5月25日~9月29日開催)の関連企画として好評をいただきました。今回は番外編として、10月19日に開幕した「北海道立近代美術館名品選 日本画を彩った巨匠たち」展のオープニングに合わせてご来館くださった五十嵐学芸員に、道近美コレクションや展覧会の見どころ、おすすめの作品をうかがいました!

 

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開会式に五十嵐学芸員と一緒にパチリ!

北海道立近代美術館の日本画コレクションについて教えてください。
北海道と日本画。ちょっとつながりにくいかもしれません。ところが、北海道は、明治以降、たくさんの日本画家を生み出しているところなのです。たとえば文化勲章受章者の山口蓬春、岩橋英遠、片岡球子は、みな北海道出身なのです。こうしたこともあって、北海道立近代美術館では、開館当初から近代日本画を収集してきました。横山大観、下村観山、竹内栖鳳、松岡映丘、堂本印象などの近代日本画のほか、山口蓬春、岩橋英遠、片岡球子はもちろんのこと、菊川多賀、福井爽人など、北海道にゆかりある日本画家の作品を収蔵しています。

 

そんな北海道立近代美術館さんの日本画の名品の数々をご紹介する「日本画を彩った巨匠たち」展で、ぜひ注目してほしいところはどこですか?
今回の展覧会では、まず、日本画の絵の具の美しさに注目していただきたいですね。油絵の具とは全く違う美しさがあります。日本画で使う絵の具は、石を砕いて絵の具にするので、「岩絵の具」というのですが、石といってもただの石じゃなくて、いわば宝石です。青はラピスラズリですから。しかも、金箔や銀箔、金泥をあちこち使っていますので、日本画は、金銀宝石で描いた絵ということになります。だからといって、ぎらぎらしているわけではなくて、墨の色とあいまって、おだやかな発色が心しみていきます。今回の出品作家では、油絵も勉強したけど、あえて日本画を選んだという画家が多いんです。それは、日本画の絵の具の繊細な美しさに惹かれたのではないかと思います。

 

五十嵐さんのおすすめの作品は?
私自身がすごく惹かれている作品は、松岡映丘の《花のあした》です。女性が縁側に立って、外を眺めているという作品ですが、見ていくと発見がいっぱいあります。椿に桜も咲いているのだけれども、「あ、こんなところにつくし」、「あっ、タンポポ?」…いろんなものが見えてきます。そして庭の手水鉢にキセキレイがとまっているのですが、その水がキラキラ輝くのです。ガラス質の雲母を砕いて絵の具に混ぜているのですね。ぜひ、展示室でみてください。

 

11月24日まで北海道立近代美術館で開催中の「森と湖の国 フィンランド・デザイン」の見どころを教えてください。
優れたデザイン性を持つフィンランドのガラス工芸の魅力を紹介する展覧会です。ガラスという素材は、その冷たさや透明感が、キラキラ輝く氷や雪の結晶を連想させますが、フィンランドのガラスは、オーロラの国の風土性と重なるものがあって、展覧会そのものが雪と氷の幻想の世界に誘ってくれますよ。

 

12月7日~1月19日に開催される次回展「冬のワンダー☆ミュージアム 2014」も、とても楽しそうです!特別な企画なのですか。
「冬のワンダー☆ミュージアム」は、毎年冬休みに開催している子どもから大人まで楽しめる展覧会で、今年のテーマは、「ハート」です。ずばりハートに響く作品を集めた展覧会で、見に来てくれるみなさんの心をどきどき、わくわくと動かします。江戸時代の浮世絵から、現代のメディアアートまで70点を出品します。

 

学芸員のお仕事でやりがいを感じることを教えてください。
仕事を通じて、いろいろな作品やいろいろな方に出会うことができることでしょうか。何度も見ているはずの私どもの美術館所蔵の日本画も、「えっ、こんなところに金箔を使っているの?」など、見るたびに発見があります。あと、見方も変わりますね。だから何を見ても、見飽きることがないですね。それから学芸員の仕事は、「人」に会う仕事でもあります。私にとっては、一つ一つの出会いが大きな財産になっています。

 

ぼくも五十嵐学芸員とお会いできて、日本画の素晴しい色とも出会うことができて、とても良い刺激を受けました!北海道立近代美術館さんの日本画をぜひ多くの人に見てもらいたいな。

 

北海道立近代美術館の展覧会情報はこちら!

「森と湖の国 フィンランド・デザイン」