愛と美の女神 ヴィーナス:見どころ

ヴィーナスの起源:オリエントの女神たち

写真:女性像

《女性像》
テル・ジュディア(シリア)出土、前3100年頃、ブロンズ
Gift of the Marriner Memorial Syrian Expedition 49.119

写真:首飾り用錘

《首飾り用錘》
セムナ(スーダン)出土、前1390-1352年頃、ブロンズ
Harvard University-Boston Museum of Fine Arts Expedition 29.1199
ヴィーナスはそもそもギリシア神話のアフロディーテですが、この女神の起源は、さらにさかのぼって紀元前3000年紀のメソポタミアにまで辿ることができます。この地方では、アフロディーテと似た女神が崇拝されており、それが変化しながらギリシアへ伝わってアフロディーテになりました。そしてそれがローマに入ってヴィーナスとなったのです。ヴィーナスの祖先にあたる女神や、それがギリシアへ伝わった経緯を紹介します。

ヴィーナスと神話

写真:アンフォラ

《双耳壺(アンフォラ)》「ヴュルツブルグの画家」に比定、アテネ(ギリシア)、前510-500年頃
Seth Kettel Sweetser Fund 60.790

写真:マルスとヴィーナス

《マルスとヴィーナス》ニコラ・プッサン、、1630年頃
Augustus Hemenway Fund and Arthur William Wheelwright Fund 40.89
海の泡からの誕生や、トロイの王子パリスによる美人コンテストでの勝利、夫ヘファイストスと愛人アレスとの三角関係や悲恋など、女神にまつわる神話は数多く伝えられています。古代ギリシア、ローマ時代の作品をはじめ、近現代の絵画や版画、工芸品などを手がかりに、彼女をめぐる数々のエピソードを辿ります。

ヴィーナスと美

写真:アフロディーテ像(カピトリーノ・タイプ)のトルソ

《アフロディーテ像(カピトリーノ・タイプ)のトルソ》
ラツィオ(イタリア)、2世紀、大理石、 Henry Lillie Pierce Fund 99.350

写真:庭でバラを集めるクピドのモザイク

《モザイク板(エンブレマ) 庭園でバラを集めるキューピッド》
ローマ帝政期、2−3世紀、石灰岩、ガラス Museum Purchase with
funds donated by Jeffrey and Pamera Dippel Choney 2003.340

写真:エロスをかたどったイアリング

《耳飾り エロス》
ギリシア、前3世紀、金

Anonymous Gift 90.177, 90.178

ヴィーナスは美の象徴であり、人々は理想の女性美を求め、この女神の姿を美術作品として表現してきました。つまり彼女の姿は、時代の美の最前線であったといえます。また、美を追求する女性たちにとってヴィーナスは憧れの存在であり、宝飾品や化粧用具などのモチーフとしても登場しています。ここでは、古代から現代までの美の理想と、美を求める女性たちの思いを振り返ります。

 

愛と結婚

ヴィーナスは、自ら恋多き女神であっただけでなく、神々や人間の愛を取り持ち、結婚の守護神として活躍しています。それゆえ、結婚式で用いる壺などには彼女に関連した図柄がよく描かれました。作品の数々には、愛の成就や幸せな結婚を願って彼女の庇護を求めた人々の思いが込められています。

写真:スキュフォス(杯)

《酒杯(スキュフォス)》
ヒエロン(陶工)、マクロン(画工)、ギリシア、前490年頃、赤像式陶器
Francis Bartlett Donation of 1912 13.186

ヴィーナスと信仰

写真:柱にもたれかかるアフロディーテ

《柱にもたれかかるアフロディーテ》  
ギリシア、ヘレニズム時代初期、テラコッタ

Museum purchase with funds donated by contribution 01.7956

写真:アエネアスに武具を授けるヴィーナス

《アエネアスに武具を授けるヴィーナス》
ルーカ・ジョルダーノ(イタリア)、1680-82年、油彩、カンヴァス
Charles Potter Kling Fund and Henry H. and Zoe Oliver Sherman Fund 1984,409
愛と美を司る女神は、具体的にどのような信仰を受けていたのでしょうか?彼女に対する崇拝は、古代ギリシア、ローマ世界の各地に認められ、彼女への奉納品など多くの遺品が出土しています。とりわけローマ帝国では、国の伝説上の始祖アエネアスの母として、盛んな崇拝を受けました。ここでは、信仰対象としての側面を掘り下げます。

二千三百年の時を超えて、オリジナルの微笑みが来日!

《アフロディーテ頭部、通称「バートレットの頭部」》
白い大理石の頬に柔和な微笑みを湛えたこのアフロディーテの頭部(右)は、ボストン美術館が誇る至宝です。古代ギリシアのクラシック時代末期からヘレニズム時代初期(紀元前330年頃)にかけて制作された作品で、当時ギリシア世界に名を轟かせていた彫刻家プラクシテレス作のアフロディーテ像(原作は現存せず)にひじょうに近い特徴をもつといわれています。実は現代にまで伝わっている古代ギリシアの彫刻は、ほとんどがローマ時代に作られたコピーです。しかしこの頭部像は、ルーブル美術館の「ミロのヴィーナス」よりも古いギリシアの貴重な原作で、アフロディーテ像の顔としては最も美しいと評されるほどです。

写真:アフロディーテの頭部、通称「バートレットの頭部」

《アフロディーテ頭部、通称「バートレットの頭部」》
ギリシア、前330年頃、大理石
Francis Bartlett Donation of 1900  03.743

© 2009 Museum of Fine Arts, Boston. All rights reserved.

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