ボストン美術館 ヴェネツィア展 2015.9.19(土)-2016.2.21(日) 魅惑の都市の500年

見どころ

ヴェネツィア・ルネサンスの三大巨匠が一堂に!
ヴェネツィア派最大の巨匠・ティツィアーノ、大画面を劇的に演出したティントレットと、そのライバルで明るく華やかなヴェロネーゼの三大巨匠の作品を一挙公開。15世紀後半から16世紀に花開いたヴェネツィア・ルネサンスをご堪能ください。
印象派の画家たちを虜にした水の都
モネ、ホイッスラー、ブーダンら、19世紀を代表する画家たちが見た水の都を、旅する気分でお楽しみいただけます。
衣装、レース、ガラス…華やかな工芸品の数々
交易都市として世界中の富と宝が集まったヴェネツィアでは、洗練された工芸品が数多く制作されました。
出展作品 約130点(油彩、版画、水彩、写真、衣装、ガラス、他)

第1章 比類なき都市

世界各地からの訪問者は、水の上に築かれた都市ヴェネツィアの特異な眺めに驚きをもって接し、その強い印象-狭い路地の果てに広がる運河のパノラマ、行き交うゴンドラ、堂々たる教会や邸宅-は絵画・写真に表わされて世界中に伝えられました。

ヴェネツィアのイメージを世界に決定づけた風景画家

カナレットは、故郷ヴェネツィアの美しい景観を描いてイギリスをはじめ欧州諸国で人気を得ました。見たままの風景を描くだけでなく、異なる視点を巧みに組み合わせ、いかにも実在しそうなヴェネツィアの眺めを作り上げました。

カナレット《サン・ジョルジョ・マッジョーレ聖堂:サン・マルコ沖に望む》
1726-30年頃 油彩、カンヴァス
Bequest of William A. Coolidge 1993.34

500年前のヴェネツィアを一望!

ヤコポ・デ・バルバリ《ヴェネツィア鳥瞰図》
1500年 木版、紙
Helen and Alice Colburn Fund 55.984

初期ヴェネツィア派の大成者

ジェンティーレ・ベッリーニ《ヴェネツィア統領パスクアーレ・マリピエーロの肖像》
1460-62年頃 テンペラ、パネル
Anna Mitchell Richards Fund 36.934

ヴェネツィアの壁を埋め尽くそうとした画家

ドメニコ・ティントレット《少年の肖像》
1580-85年頃 油彩、カンヴァス
Gift of Mrs. W. Scott Fitz and Robert Treat Paine, 2nd 27.862

魅惑の都市・ヴェネツィア
青い空、水に反射する光、運河の向こうにそびえる教会堂と波の上を行き交うゴンドラ…18世紀の風景画家・カナレットが描いたヴェネツィアの眺めは、私たちが抱くヴェネツィアのイメージを印象づけました。そして実際にこの地を訪れた人たちは、入り組んだ路地の果てに広がる運河のパノラマ、水に反射する光の輝き、ゴンドラによる移動手段、幻想的なカーニヴァルといった非日常の経験に着想を得て、それを文学や絵画、または写真や映画に表現してきました。

第2章 描かれた祈り

聖マルコを守護聖人とするヴェネツィアは、東洋世界にもっとも近いキリスト教徒の都でもありました。16世紀に活躍したヴェネツィア派の画家たちは、後の印象派にも影響を与える豊かな色彩表現で宗教主題を情動的に描きました。

ミケランジェロも認めたヴェネツィア派最大の巨匠

ティツィアーノは、筆の筆触を生かした色彩表現を完成させたヴェネツィア派最大の巨匠。ヴェネツィアのみならず、神聖ローマ帝国のカール5世やフェリペ2世をもパトロンとし、当時の王侯貴族や聖職者がこぞって彼の作品を求めました。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ《アレクサンドリアの聖カタリナの祈り》
1567年頃 油彩、パネル
1948 Fund and Otis Norcross Fund 48.499

孤独の放浪画家・幻の名作、鮮やかによみがえり初公開!

ロットは、ティツィアーノと同時期にヴェネツィアに生まれた画家。郷里ではパトロンに恵まれず、イタリア各地を放浪し孤独な生涯を送りました。しかしながら鮮やかな色彩使いや劇的な感情表現は、ヴェネツィア派の典型とみられています。

ロレンツォ・ロット《聖母子と聖ヒエロニムス、トレンティーノの聖ニコラウス》
1523-24年 油彩、パネル
Charles Potter Kling Fund 60.154

大迫力!約3mの画面に描かれた臨場感あふれる聖書の場面

ドメニコ・ティントレット《東方三博士の礼拝》
1600-10年頃 油彩、カンヴァス
Herbert James Pratt Fund 26.142

印象派も刺激を受けたヴェネツィア絵画
15世紀ルネサンス期から18世紀バロック期にかけてヴェネツィアで生まれた絵画表現は、ヴェネツィア派と呼ばれ、特に16世紀に活躍したティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼは三大巨匠として知られています。同じ頃に隆盛を迎えたフィレンツェ派絵画の線描に対してヴェネツィア派は色彩表現が特徴とされ、その絵画技法は印象派に至るまで、その後のヨーロッパの絵画技法に大きな影響を与えました。

第3章 ヴェネツィア様式

贅沢な絹織物やレース、ガラス製品は、ヴェネツィアの人々の趣味にかなうものであると同時に、この地の主要産業でもあり、ヨーロッパ各地に輸出されて水の都のイメージを瀟洒しょうしゃに彩りました。

貴族の館を飾った古代神話の愛の物語

パオロ・ヴェロネーゼ《ユピテルと裸婦》
1560年代 油彩・カンヴァス
Gift of Mrs. Edward Jackson Holmes 60.125

ヨーロッパの本の半分はヴェネツィア製でした~稀覯本の数々~

(左)フランチェスコ・コロンナ著『ポリフィロの夢』
   1499年 George Nixon Black Fund 35.654
(右)チェーザレ・ヴェチェッリオ著・画『世界各地の古今の服飾』
   1590年 William Sturgis Bigelow Collection, by exchange 42.685

ヴェネツィアの魔術師と呼ばれたデザイナー

マリアーノ・フォルトゥーニ《ツーピースの「デルフォス」ドレス》
1937年 プリーツ加工のシルク・サテン、ガラス・ビーズ
Gift of Mrs, Sargent F. Collier 1986.960

ヴェネツィアで花魁道中!?~おしゃれを競った女性たち~

この底が非常に高い靴は、ファッションに敏感なヴェネツィアの女性たちが好んで履いたものです。木の土台に革や高価な絹織物・レースをあしらい、豪華に飾られています。

《婦人用の高底靴(チョピン)》
1590-1610年頃 木材の上に加工した革、金属の組み紐
The Elizabeth Day McCormick Collection 46.770a-b

ヴェネツィア・レース ヨーロッパ貴族を魅了したヴェネツィアの華

16世紀ごろからヴェネツィアの繊細なレースはヨーロッパ各地の高貴な人々を魅了しました。イギリスのエリザベス1世やスペインのフェリペ2世の肖像画で見る襟元のレースも、ヴェネツィアで作られたものだと言われています。

《レティチェラ・レースのタオル》(部分)
16世紀(デザイン)、17世紀(製作) ヴェネチアン・ポイント・レース
Gift of Mrs. George Linder 07.855

ヴェネツィア・ガラス 秘伝の技法

リーノ・タリアピエトラ《瓶》
1998年頃 宙吹き、ガラス
© Lino Tagliapietra, Inc.
Gift of Dale and Doug Anderson 2009.2536

第4章 芸術家たちを魅了する町

1797年、ナポレオン軍の侵攻によりヴェネツィア共和国は崩壊。凋落した都市は近代化から取り残されました。しかし19世紀になると過去の時代をしのばせるヴェネツィアの街並みに安らぎを求め、アメリカやヨーロッパ諸都市から多くの芸術家たちがこの地を訪れました。

空の王者が描くヴェネツィア

ブータンは印象派の画家たちに先駆けて戸外の光を絵画に取り入れたことで知られています。若きモネと共に故郷ノルマンディーの海浜風景を描き、雲や大気などの微妙な動きを捉えて「空の王者」と呼ばれました。夏のヴェネツィアを描いた本作品では明るい光が画面を満たし、空の青と運河の水の表情を清々しくとらえています。

ウジェーヌ・ブーダン《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂:サン・ジョルジョ島から望む》
1895年 油彩、カンヴァス
Juliana Cheney Edwards Collection 25.111

耽美なるモノトーンの詩

ジェイムズ・アボット・マクニール・ホイッスラー《邸館の入口(<第一ヴェネツィア連作>より)》
1879-80年頃 エッチング、紙
Gift of Mrs. Horatio Greenough Curtis in memory of her husband Horatio Greenough Curtis 27.1403

異国情緒たっぷり日本人のヴェネツィア

𠮷田博《ヴェニスの運河》
1925(大正14)年 木版、紙、インク
John Ware Willard Fund 49.1150

晩年のモネを癒した水の都

クロード・モネ《ヴェネツィアの大運河》
1908年 油彩、カンヴァス
Bequest of Alexander Cochrane 19.171

カメラ・オブスキュラの幻影

アベラルド・モレル《サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂》
2006年 写真、ゼラチン・シルヴァー・プリント
©Abelardo Morell, Courtesy Edwynn Houk Gallery
The Lane Collection L-R 309.2012

ウォルター・ゲイ《バルバロ邸の室内》
1902年 油彩、カンヴァス
The Hayden Collection—Charles Henry Hayden Fund 11.1537

ボストンとヴェネツィア
ボストン美術館が設立された19世紀、ボストンには多くのイタリア美術愛好家がいました。中でもボストンの銀行家、ダニエル・サージェント・カーティスがヴェネツィアのバルバロ邸を買い取り、荒廃していた邸内を修復すると、親戚である画家のサージェントやホイッスラーといった英米の芸術家たちが集うサロンとなりました。同じくボストンの美術愛好家であったスチュワート・ガードナー夫人はこの邸宅に惚れ込み、15世紀ルネサンス期のヴェネツィアの邸宅をモデルとしたフェンウェイ・コートをボストンに建設。美術史家バーナード・ベレンソンの助言を得てティツィアーノ、ヴェロネーゼ、ティントレットといったヴェネツィア・ルネサンスの名画を収集しました。こうしてボストニアンの中にヴェネツィア芸術への理解が深まっていきました。

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